こんにちは🌵
メキシコで唯一日系企業が運営する医療機関サボテンファミリークリニックの日本人病院スタッフがお届けするメキシコ生活情報です。今日のテーマは「5月〜10月のメキシコの雨季に気をつけたい感染症『デング熱 』」です。メキシコにお住まいの日本人のみなさま、駐在や移住をご検討されている日本人のみなさまのお役に立てれば幸いです。
目次
雨季の到来
ますます暑さが厳しくなってきた今日この頃。この暑さを取っ払うべく、早く雨季に入ってもらいたいところです。一般的にメキシコでは、年によって多少前後することはありますが、 5月から10月にかけて雨季の季節となります。
「雨季」と聞けば、日本では梅雨のようなイメージを持ってしまいがちですが、メキシコの雨季はかなり様相が異なります。朝からどんよりと曇っていたり、一日中雨が降り続くということはなく、たいてい午前中はカラッと晴れていて、夕方・夜になると激しい雨が降り出すというパターンがほとんどです。
まさに『バケツをひっくり返したような雨』という表現がふさわしく、この時期は雷を伴う豪雨もしばしばあり、道路の水捌けが良くないメキシコでは道路が冠水し、渋滞を引き起こすことも珍しくありません。雨季には急な天候の変化に注意しましょう。
また、雨季になると流行り出す感染症にも気をつけなければなりません。それはデング熱です。
【デング熱とは?】
デング熱はデングウィルスを持つ蚊「ヒトスジシマカ」、通称「ヤブ蚊」に刺されることで感染する病気です。感染には蚊が必ず媒介し、人から人への直接感染はありません。ヒトスジシマカの分布は広く、都市部、市街地などにも生息し、日中(日の出から日の入り時間まで)に活発に活動(吸血)します。

【デング熱の初期症状 】
3~15日の潜伏期を経て 、一般的には以下の症状が現れます。
・発熱: 38~40度程度の熱が5~7日間続く。
・頭痛: 激しい頭痛や目の奥の痛み。
・疲労感: 強い疲労感や全身のだるさ、関節や筋肉の痛み。
・発疹: 風疹と同じような小さな紅斑が体全体または一部に現れる。 (かゆみや痛みはなし)
デング熱の初期に現れる症状は、インフルエンザにかかった場合にもよく似ているため、これらの症状だけから自己判断を下すことは危険です。これらの症状が現れた場合はインフルエンザのほかにデング熱である可能性も考えて、早めに医療機関を受診し、適切な診断・治療を受けましょう。
【デング熱の治療方法】
残念ながら現在デング熱には特効薬がなく、一般的な対症療法が行われます。幸いなことに特別な治療を行わなくても軽症で済む場合が多く、死亡率は1%以下であるといわれています。
しかしながら、まれに重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがあり、早期に適切な治療が行われなければ死に至ることがあります。
デング出血熱は、発熱して2~7日してから発症することが多いようですが、デング熱にかかった人がデング出血熱になるかどうかは事前に予測が出来ません(大人よりも小児に多発する傾向があるようです)。
「一度かかったから免疫がある」と、油断しないで!
デング熱は、一度かかったら免疫によって生涯かからないという感染症ではありません。デング熱の原因となるデングウイルスは4種類あるといわれており、同じ種類のウイルスに再感染した場合は発症しても軽く済みますが、異なる種類のウイルスに感染すると重症化することがあります。
デング熱にかかったことのある人も、油断しないで、蚊に刺されないよう予防に努めるとともに、万一、デング熱を疑う症状が出た場合には、できるだけ早く医療機関を受診してください。
【デング熱の予防方法 】
前述のとおり、現在デング熱には予防接種も予防薬もないため、私たちができる唯一の予防方法は蚊に刺されないように身を守ることです。以下の点に気をつけて、感染の予防に努めましょう。
①蚊を発生させない
ネッタイシマカは交尾後、水中に産卵しますが、沼や池のような広い場所よりも、狭い水たまりのような場所を好みます。そのため、屋外に置かれた植木鉢の受け皿や空き缶、ペットボトルなどに溜まった水に産卵します。幼虫であるボウフラは繁殖力が強く、空き缶に溜まったような少しの水があればそこで孵化してしまいます。
家の周囲に不要な水たまりはないか小まめに確認し、発生源をなくすことが駆除のポイントとなります。



②蚊に刺されない ように身を守る(外出時・屋外作業)
蚊に刺されないようにするために、長袖のシャツやパンツ、靴を着用し、皮膚の露出を避けましょう。また蚊よけスプレーやクリームを使用して皮膚を保護しましょう。効果持続時間は製品や使用場所により違いがあるので、長時間外出する場合は定期的に塗りなおしてください(※水に濡れたりすると、その時間が短くなります)。

③蚊の侵入を防ぐ(室内)
室内の蚊対策も重要です。窓やドアに蚊網(スペイン語: モスキテロ mosquitero)を取り付け、蚊が室内に入り込むのを防ぎます。また、寝るときには電器蚊取り器や蚊取り線香を使うとより効果的です。




④抵抗力をつける
体力が低下すると免疫力が落ちるので、規則正しい生活と十分な睡眠、栄養をとるよう心がけましょう。



デング熱かな?と思ったら、サボテンファミリークリニックへご相談ください
メキシコに3院(レオン・イラプアト・ケレタロ)展開中の当院では、デング熱の初期対応が可能です。この時期に突然の高熱や頭痛、関節痛や筋肉痛、発疹等が現れた場合には、デング熱感染を疑って、直ちに当院までご連絡ください。