医療

【痛風】

こんにちは🌵
 メキシコで唯一日系企業が運営する医療機関サボテンファミリークリニックの日本人病院スタッフがお届けするメキシコ生活情報です。今日のテーマは「痛風」です。メキシコにお住まいの日本人のみなさま、駐在や移住をご検討されている日本人のみなさまのお役に立てれば幸いです。

~痛風とは?~

 痛風とは、ある日突然、足の親指などの関節が腫れて激痛におそわれる病気で、男性に多い病気です。この症状は発作的に起こることから「痛風発作」とよばれ、発作が起こると、2~3日は歩けないほどの痛みが続きます。
その後、痛みは徐々にやわらいでいきますが、正しい診断や治療を受けずに放置していると、同じような発作が繰り返し起こり、発作を起こすたびに病態は悪化していきます。

原因

痛風は、体内の尿酸レベルが高くなり、関節に結晶が蓄積することによって引き起こされる疾患で、「高尿酸血症」が原因です。

 

尿酸は体の新陳代謝により発生する老廃物です。通常、体内の尿酸は産生と排出のバランスを保ちながら、一定の量に保たれるようになっていますが、尿酸が過剰につくられたり、排出がうまくいかなくなったりすると、体内の尿酸は一定量を超えてしまいます。こうして血液中の尿酸の濃度が7.0mg/dlを超えた状態が高尿酸血症です。


 高尿酸血症は、それだけでは自覚症状はありませんが、尿酸濃度が高い状態が続くと、血液に溶け切れなかった尿酸は結晶化して、関節や組織にたまっていきます。関節にたまった尿酸結晶に対して免疫細胞が反応し、炎症を起こして痛風となります。

~痛風は生活習慣が大きく関わっています~

食生活

 痛風の原因となる高尿酸血症は、生活習慣、とくに食生活が大きく関わっています。
尿酸は「プリン体」が分解されてつくられます。プリン体とは、細胞の新陳代謝やエネルギー代謝によってつくられる物質ですが、食品からもプリン体をとっています。
さらに、高カロリー食や多量の飲酒が招く肥満も、痛風の大きな危険因子となります。肥満は尿酸の排出を悪くするため、体内の尿酸量が増えやすくなります。

<プリン体の合成を促すもの>

  • 過食
  • 高カロリー食
  • 動物性食品のとりすぎ(レバーやエビ)
  • 多量の飲酒
  • 運動不足

<プリン体の多い食品>

  • 牛・豚・鶏レバー
  • 牛肉や豚肉
  • イワシやアジなどの干物
  • 白子、アンコウの肝
  • 車エビ、タコ   など

〈プリン体の多いお酒〉

ビール、日本酒、紹興酒、ワインなど

運動・精神的ストレス

 激しい運動や精神的ストレスも尿酸値の上昇を招くといわれています。とくに激しい運動で大量の汗をかいたときは、体内の尿酸値が一時的に上昇します。このときに水分を十分に補給しないと、血液中の尿酸濃度が上昇したままになり、痛風につながります。

 メキシコ料理には、脂肪分や砂糖の多い食材、高カロリーの飲み物、赤身の肉、シーフード、アルコールなどが一般的に含まれています。また、メキシコの気候も痛風の発症を促進する可能性があります。暑い気候では、水分の摂取量が減り、尿酸結晶が形成されやすくなる傾向があります。

~痛風を予防改善するには~

生活習慣の改善

 痛風を予防・改善するためには、食べすぎに注意して肥満を改善すること、プリン体を多く含む高カロリー食やアルコールを控えることなどが必要です。
さらに尿酸の排出を促し、痛風の発作を起こさないために、水分を十分にとることも必要です。水分は甘いジュースやアルコール飲料ではなく、水やお茶でとるようにしましょう。
また、ストレスを上手に解消し、適度な運動を行うことも大切ですが、すでに痛風や高尿酸血症を発症している場合は、激しい運動をしたあと一時的に尿酸値が上がり、痛風発作を起こしやすいので、注意が必要です。

  • 過食をしない
  • プリン体を多く含む食品を控える
  • 飲酒は適量を守る
  • 水分を十分にとる
  • 適度な運動を習慣にする
  • ストレスを上手く解消する

 痛風は日本で比較的よく見られる疾患であり、日本人の中には遺伝的要因により痛風にかかりやすい人々も存在します。日本の伝統的な食事には、魚介類などプリン体が豊富な食材が多く含まれており、これらは痛風のリスクを増加させていると考えられています。しかし、メキシコでも比較的良く見られる病気なので、生活習慣を見直し、健康で楽しいメキシコ生活を送りましょう‼

(H.M)

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