メキシコで唯一日系企業が運営する医療機関サボテンファミリークリニックの日本人病院スタッフがお届けするメキシコ生活情報です。今日のテーマは「ピロリ菌」です。
メキシコにお住まいの日本人のみなさま、駐在や移住をご検討されている日本人のみなさまのお役に立てれば幸いです。
メキシコは美しい景色、豊かな文化、そして素晴らしい食事が特徴的な国です。しかし、その一方で、健康上の問題にも直面しています。その中でも注目されるのが、ピロリ菌という胃の細菌です。このコラムでは、メキシコ在住の皆さんに向けて、ピロリ菌の基本的な知識から感染のリスク、そして予防と対策について解説していきます。

ピロリ菌とは何か?
ピロリ菌(正式名称: ヘリコバクター・ピロリ)は、胃に生息するグラム陰性の細菌であり、胃の粘膜に付着して繁殖します。1982年にオーストラリアのロビン・ウォレンとバリー・マーシャルによって発見されました。
通常、胃の中は強い酸である胃酸が分泌されているため、細菌は生きていけません。しかし、ピロリ菌は尿素をアンモニアに分解する酵素、ウレアーゼを出すことで胃酸を中和し胃の中に住めるのです。
ピロリ菌は胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ガンの主要な原因とされています。

ピロリ感染のリスク
メキシコでは、特に低所得層や衛生状態の改善が進んでいない地域で、ピロリ菌の感染リスクが高くなる傾向があります。感染経路は主に経口経路であり、汚染された飲食物や水、感染者との接触が原因となります。また、家族内での感染も一般的です。


ピロリ菌感染の予防と対策
幸いにも、ピロリ菌感染を予防するための方法がいくつか存在します。以下にいくつかの対策をご紹介します。
- 衛生意識の向上:手洗いをこまめに行い、食品の適切な加熱を心掛けましょう。
- 安全な飲料水:水道水の飲用は避け、ボトル入りの安全な飲料水を選ぶようにしましょう。
- 食品の安全性:外食をする際には、お店の衛生状態に気をつけ、信頼性のある店を選びましょう。
- 感染者との接触:ピロリ菌感染が疑われる人との接触は避け、家族内感染を防ぐためにも感染者との食器の共有を避けましょう。
ピロリ菌感染の症状と診断
ピロリ菌感染は、一部の人では症状を引き起こさない場合もありますが、一般的な症状には次のようなものがあります。
- 胃痛や胸焼け
- げっぷや胸の不快感
- 食欲不振や体重減少
- 黒い便や吐血
- 慢性的な胃炎や潰瘍

これらの症状がある場合、医療専門家の診断と治療が必要です。ピロリ菌の検査には、大きく分けて2種類あります。
① 内視鏡による検査
② 内視鏡以外の検査: 血液の抗体検査、便の抗原検査、呼気検査
ピロリ菌感染の治療
もし感染が確認された場合は、適切な治療を受けることが重要です。一般的な治療法には、抗生物質と胃酸抑制剤を組み合わせることで、ピロリ菌を根絶することが挙げられます。治療期間中は医師の指示に従い、全ての薬を正しく飲み切ることが大切です。

おわりに
ピロリ菌感染は、多くの人々が直面している健康上の問題の一つです。しかし、正しい知識と予防策、適切な治療を受けることで、この問題に対処できる可能性があります。自分自身と家族の健康を守るためにも、ピロリ菌感染についての意識を高め、健康への取り組みを続けていただきたいと思います。
T.T
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